■HACCPの構築と施設の計画■
施設の改修、新築に関わらず計画を行う上で大切なことは必要な製造室の種類と相互の配置ではないでしょうか。
但し、食品施設である以上、常に衛生的な要素が満たされていなければなりません。
そこで今ある食品施設の衛生規範等を利用し、施設のハードの構築が出来ないかと考えてきました。
HACCPに代表される食品の安全と安心のプログラムは、施設が計画され工事期間中に構築されるか、施設の完成後又は、既存施設の場合においては、現状での構築が行われる場合が多いと思われます。
私自身も設計というハードの仕事からの依頼が多く、完成期日が想定されている関係から、施設計画を建築的なアプローチで始めてしまい、HACCP構築の段階で “しまった” と感じることもあります。
HACCPの12手順とその前提プログラム(GMP、SSOP等)を利用し、
ハードの構築のための条件を作り上げる事が、最終的にHACCPとの整合性がとれ、かつ、ソフトとハードのバランスの良い食品施設になると考えます。

■食品施設計画におけるHACCPの誤解■
講演を依頼されるたびに、「HACCPを確立するための要件には、施設のハード面に対する具体的なに要求はありません。」と説明をしています。聴衆されている方々は少しばかり驚かれているようですが、ある程度HACCPを耳にしておられる方でも、その点の整理がついていないようです。建設会社から始まって材料機器メーカーも商品にHACCP対応という文言が入ったカタログを作成しています。
私が地方の建設会社や設計事務所を指導する場面でも「HACCPではどのように決められていますか?」とよく質問されます。
理解されている方には当たり前のことと思いますが、HACCPは製造過程の重要な管理点を見つけ出し、その部分を管理することで、健康危害を回避するためのプログラムですから、施設のハードとは直接何の関係もないことはご理解いただけると思います。
しかし、それではハードの整備やあるべき姿は本当に要求されていないのでしょうか?ここに、HACCPの前提プログラムの存在が重要な鍵を握っています。

■前提プログラム(PP又はPrPs)とハードの関係■
PPは、HACCPの健康危害に関わる製造過程上の重要な管理点を絞り込むために必要なプログラムです。
簡単に言えば、PPがしっかり構築され運営されていれば、健康危害を引き起こす製造過程の多くの注意点は監理されていることになり、最小限の重要管理点のみHACCPの中で取り扱うことが出来るため、運営が現実的なレベルとなります。
また、PPは食品を取り扱うためには当然行わなければならない決まりでもあります。
PPで取り扱うプログラムはおおよそ下記の表に示すように、10項目となりますが、さらに取り扱い上分類すると9項目となります。

■HACCPの7原則・12手順を利用した施設の計画の進め方■

 1.HACCPチームの編成 
HACCPのメンバーは、製造に必要な専門的な知識を有している者
(原材料担当、各製造担当、品質担当、開発担当、営業担当)
決定権のある者/専門施設建設委員の選任の条件
(経営陣、工場長、財務担当)
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建設委員の選任方法に利用できる!

 2.製 品 説 明     

 

 3.使用目的    
製品の種類と名称、原材料の種類、消費期限、消費対象者、包装形態
使用制限のある添加物の使用の有無、保管方法等を明記します。
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・製品や原材料の種類が整理される。
・包装材料が判る。
・消費対象者の選定や添加物の使用の有無により製造における注意点が明確になる。
・製品の出荷、保管温度が判る。

 4.工程図の作成     
全ての製品は、製品毎に製造過程を作成。

工程の見落としは危害の見落としとなる!

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どんな作業をどこで行うかを明確にすることで必要な作業室が計画できる。
従って、施設のプランの作成やゾーニングの計画にとって、最も重要作業となります!

 5.工程図の現場検証        

※新築の場合、現状と作業動線やそれを行う作業室が違うため想定の 範囲を出ませんが、完成後は必ず検証を行う必要があります

 6. 全ての潜在的危害のリストアップ 

★ここからが、HACCPのプラン作りの本格的な作業に入ります★
製造過程毎に想定される健康危害をリストアップし、その根拠と危害の影響、発生の要因と処置を整理する。

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製造室や保管場所では危害の要因を温度で管理する場合は、施設のハード側(空調条件、建築材に対する断熱条件)の条件となる。
※8〜12に関しては、施設の計画に関わることがありません。