“洗浄機のトップランナー”クレオとは
2023,12,27
今回は、洗浄機メーカーではトップシェアーを誇るクレオの渡辺取締役サニテーション事業部 本部長と小林サニテーション事業部 副本部長のお二人に来ていただきました。
今もトップシェアーを維持している理由や今後の取り組みなど、お聞かせ頂きければと思います。
高橋:
それでは会社の概要をお話しください。
渡辺:
株式会社クレオと申します。クレオの社名の由来は、ラテン語のCREATE、想像と聞いています。
元々は大手企業で働いていた方々が独立し、立ち上げた会社です。
現在の主力はコンテナの洗浄を行う洗浄機、それに使用される洗剤と機器のメンテナンス業務となります。
元々は、食品工場や流通で使用されるコンテナの洗浄でスタートしていますが、実際に工場の製造状況を見ると、他にも清掃や、洗浄で困っている事が判りました。
現在は、器具を洗う洗浄機器や汚染の原因となる食材が直に接する表面の除菌洗浄を行える洗浄剤の開発や、清浄方法のアドバイスまで業務を広げております。
高橋:
主力はあくまで洗浄機械ですね
渡辺:
確かにそうですが、洗浄剤を含め、その取り扱いや衛生的な工場の環境を維持するための洗浄の方法等、包括的な指導なども重要な業務となっています。
高橋:
幾つか洗浄機メーカーはありますが工場全体の清掃・洗浄に関してソフトとハードを提供出来る会社はクレオさん以外にありますか。
渡辺:
洗浄剤メーカーが機械を販売している事はありますが、私の知る限り、弊社の様に洗浄機械メーカーが工場全体を衛生的に保つ為の清掃、洗浄方法を機械と共に提供している会社は無いのではと思います。
呼びなれている名称だけど正しい呼び方は
高橋:
弊社IFFも食品工場の洗浄ラインに多くクレオの機械を使用していますが、外番重洗浄機とか内容器洗浄機、或いはコンテナ洗浄機とか呼んでいます。正しい呼び方があるとしたらなんと呼べばいいのですか。
渡辺:
業界によって呼び方に違いますがあますがコンテナとは呼んでいないと思います。内バットとか外箱、外番重と呼んでいる様です。流通業界では流通コンテナとかで呼んでいます。
洗浄機業界での高いシェアーの理由は
高橋:
洗浄機械における食品業界の工場のシェアーはどのくらいになりますか。
渡辺:
おおよそ60%程度と思います。
小林:
洗浄剤でも30%程度と思います。
高橋:
洗浄剤の開発や使用のアドバイスが出来る以外にそれだけ高いシェアーを支える洗浄機の特徴は何でしょうか。
渡辺:
今は良く聞かれるSDGsに対応した開発、例えば人が洗浄している作業の機械化による省人化やエネルギー消費を抑えた省エネ化の機器の開発など絶えず新製品や製品の見直しを進めています。
高橋:
外番重の洗浄は当初洗って終わりでしたが今は乾燥機能付が当たり前のようですが
渡辺:
乾燥しない状態で保管すると菌が増殖し、製造エリアでなくても工場内保管のため問題となるのではとコンビニ系のベンダーから指摘があり、乾燥機能を持たせるようになりました。
高橋:
乾燥方法は当初、熱風乾燥から始まったと思いますが今はどのような方法を採用していますか
小林:
内容器洗浄は熱風乾燥方式が多く、外番重は遠心脱水方式を採用しています。
遠心脱水方式は、熱風乾燥に比べてイニシャルコストは高く生りますがランニングコストは安く抑えられるメリットがあります。
高橋:
外番重には様々なサイズがあると思いますが、全てのサイズに対応できますか。
小林:
1種類の対応を想定していますが、多少の高さの違いは対応可能です。現在様々な容器の大きさに対応出来る機種の開発に取り組んでおります。
高橋:
種類毎に洗浄するならばいろいろな種類への対応は可能では
小林:
洗浄の順番を決めて流すのであれば現在の機種でも対応が可能です。
高橋:
要するにランダムに容器を流して洗浄しなければ1台で対応が可能ということですね
小林:
そうです。
絶えず改善・開発を行う
高橋:
内容器は完全には綺麗にならないとよく聞きます。その為、洗浄後にシートを容器の中に敷いたりアルコールを噴霧したりしていますが、それは今後も変わらないでしょうか
小林:
今、シートレス洗浄機を開発し、客先に納めています。この機種はシートを必要としないための洗浄、すすぎ、乾燥ラインの機能を持たせています。但し、樹脂番重は傷付きやすく、傷に菌が入るため安全が担保出来ません。従って金属番重のみの対応機種としています。
高橋:
要するにホテルパンのようなものですね
小林:
お客様によってはこの洗浄機を使用し、樹脂番重でもシートを引かず使用している所も有り実際に弊社も検査分析を行ってみると問題が無いことが確認出来るのですが、安心、安全を担保する立場からは、金属番重に限定しご提案をしております。
渡辺:
容器が古くなるにつれて傷が多く、洗浄が行き届かないと考えています。
高橋:
手つき番重の取ってのところが洗浄しにくいと聞きますがその点はどう対処されていますか。
小林:
ノズルからの噴射の強さを上げる、濯ぎ時間を長くする、循環タンクの水の汚れを管理する機能等で問題無く洗浄出来ています。
汚れだけで無く、アレルゲン物質を基準値以下まで洗浄出来る機種の開発も行っています。
区域分けと洗浄室の配置の考え方
高橋:
御社に聞く話ではないかもしれないけれど、弊社がコンサルしている先のプランに、清潔区域用洗浄室と汚染区域用洗浄室が設けられて不思議に感じました。
なぜなら、使用済みの容器は、どちらの区域からのものでも汚染されているし、洗浄後はどちらからの容器でも清潔になっているにもかかわらず汚染用と清潔用に洗浄室を分ける意味が良く分からない。
洗浄後に清潔区域に搬送するルートが汚染区域を通らなければ一ヵ所で良いのではとアドバイスをしたけれど、理解してもらえなかった経験があります。
良くある話ですか。
小林:
確かにそのように考える工場はあります。
場所、場所で洗浄機を設ける方もおられます。
渡辺:
肉の処理に係わる容器の洗浄は特に注意が必要と思います。
高橋:
確かに処理した肉を入れた容器の汚れは他とは違う。だから私も肉処理室内に専用のバッチタイプの容器洗浄機は設置する様にした。
連続式の洗浄機を何台も分散する意味が安全面からもコスト面からも適当とは考えられない。
非加熱の場合ならば理解出来るけれど、加熱工程がある食品の場合は、必要性の根拠が不明確ではないかと思う。
小林:
多くのお客様の場合、コストやスペースの面から何台も設置する事は難しいと考え、洗う順番や順番毎に洗浄機を洗浄する等、工夫されているようです。
高橋:
容器洗浄機の話をしていますが、弊社の場合、器具洗浄機の設置も重要に考えています。
バッチタイプの容器洗浄機で兼用できますか。
渡辺:
容器洗浄と器具洗浄は性能的に違う機種です。
手洗いの洗浄は熟練度によって大きく左右されます。熟練度の低い方が洗浄した結果、汚れが残っている場合など、安全の問題だけでは無くアレルギー物質の残存にもなるため器具洗浄機も重要な機器となっています。
開発は洗いにくい場所を見つけることから
高橋:
外、内の容器洗浄機や器具洗浄機の話を聞いていましたが、他に洗浄の対象となるところはどこかありますか。
渡辺:
最近、食品が直接触れるコンベアーの洗浄も検討しています。
綺麗に洗浄されていると製品の品質面が安定する傾向があると言われています。
小林:
こすり洗いでは無く、発泡洗浄の採用を勧めています。
発砲、放置、すすぎ洗いの一連の洗浄による効果が見られます。
ベルトコンベアーには手で泡を掛けていましたが、表面はそれで充分に効果があります。
しかし裏面はなかなか均一に泡を付けたり、泡の洗い落としが無いようにするのが難しいことに気が付きました。
その為のノズルを設置し自動で洗う装置の開発もしました。
結構好評で、特に肉処理関係のコンベアーに多く採用していただいております。
高橋:
見たことが無いな
渡辺:
新商品ですのでまだ大きくは宣伝していません。
高橋:
コンベアーの台数が多い盛り付け室はドライが基本なので、泡を洗い落とす洗浄水による排水の必要性があると使用が難しいと思う。
渡辺:
確かに直接コンベアーに食材を載せない盛り付け室には必要が無く、米飯系でも炊き上がった舎利を搬送するコンベアーには採用されています。
洗えていないところが綺麗になる結果、初発菌の菌数が低くなる効果があり、廃棄ロスの削減にも繋がることになります。
高橋:
これから販売するのですか
小林:
既に3,40台販売しています。
具体的な設置場所は、炊飯のほぐしラインのコンベアーに設置しています。
高橋:
あの辺りは分解洗浄する等、洗浄に時間がかかることと、舎利は菌の培地になる程の養分があるので洗浄は重要です。
小林:
昔からコンベアーを洗いたい要望はありましたが弊社もなかなかうまく洗えず、洗剤の開発により可能になった推移があります。
特にコンベアーの裏面は洗いにくいため汚れている状況です
渡辺:
食肉関係のコンベアーはかなり長いため、衛生面だけでは無く、洗浄作業からの負担軽減となることから労働環境の改善面でも効果があるようです。
又、洗浄頻度も多くなることから、衛生面に寄与する結果となっています。
洗いにくく、困っているのは食品業界以外にも
高橋:
他に取り組んでいる事はありますか
小林:
機械的な事はありませんが、化粧品業界向けに洗浄機とか洗剤の提案をしております。
化粧品の充填に使用するホースが一日100本、200本あり、手洗いで洗浄をしている事が判り、それらを一気に洗えるホース洗浄機を開発したところ大手の化粧品メーカーに採用され、引き続き購入を予定されています。
渡辺:
化粧品の汚れは有機物では無くシリコン系のような物で、ブラシでも落ちない、それでも人数を掛けて洗っているのが現状でした。
小林:
たまたま、デザート工場からの依頼でクリーム充填に使用するホースの自動洗浄機、いわゆるCIP洗浄機を開発しいたところ、化粧品会社の方が来社された時にご覧になり興味をもたれました。そこで、自分達の工場で使用出来ないかとの打診があり、テストしたところ洗えたので高額な機械ですが購入をしてもらいました。
食品業界と違い、全てが手洗いによる洗浄のようです。
バケツに付いた汚れを30分も掛けて洗っているような状況です。
使用している洗剤自体も市販品のものなのでますます落ちない。
人の問題以外に、流し放しで使用している水の削減も機械を入れることで改善できることに注目していただいています。
省エネ、省人化への取り組みは
高橋:
我々の業務の中で避けて通れないのが省人化、省エネ化の検討になりますが洗浄の前後の搬送など、自動化の取り組みはしていますか。
渡辺:
洗浄機の前後の自動化は、マテハンメーカーが得意とする分野なので必要に応じて取り組んで行くことになりますが、今後は必要とおもいます。
高橋:
省エネの点で、他社の洗浄機と比べたデーターはありますか
渡辺:
以前から比較検討した資料は作成しています。
濯ぎも二段階になっていて、第一段階で使用する水は回収した水を使用し、最後で使用する水の量はかなり少なくする仕組みやフィルターで濾した水を使用する循環濯ぎのシステムとなっています。
又、洗浄には熱を必要としていることから低い温度で洗浄が可能かの実験もしています。
小林:
某食品メーカーから洗浄水熱回収のために洗浄タンクに後付けで排水熱回収装置を付ける要望があり、捨てる水で濯ぎ水を暖め、熱カロリーの低減を行うと同時に排水の温度を下げることで廃水処理装置の付加を下げる効果がありました。
20℃程度の加温効果や排水温度の低下が見込まれます。
新規で購入される場合は標準装置としていますが、既存のお客様でも要望があれば後付けで取り付けています。
クレオが期待される理由は
渡辺:
洗剤に関しては大手メーカーとも競合してきましたがケミカル的な開発だけでは限界があり、機械だけの開発だけでも限界があると考えています。
両方の開発が出来る会社であることがクレオに期待されている事と考えています。
高橋:
洗浄機の種類には食器などの洗浄を専門とするメーカーもありますが、クレオさんはそのような分野には進出しないのですか。
小林:
業界的に棲み分けがされているようです。
渡辺:
化粧品に関して言えば、タンクを洗う洗浄機メーカーはありますが物理的な力で洗う手法しか考えていない様に思います。
その業界に係わるとクレオの強みであるケミカルと機械、両方の取り組みが役に立ち結果、客の満足に繋がります。
いつまでも容器洗浄だけの会社だと伸びないので新しいことに取り組んで行かないと行けないと考えています。
クレオの社名の由来からも創造性を持って取り組んで行きたいと思います。
高橋:
本日はありがとうございました。
クレオの洗浄に対する取り組む姿勢をお聴きし、業界でのトップシェアーを維持していられる要因がわかりました。
対談では充分な情報をお届けできないため下記のアドレスからクレオの様々な製品や事業内容をご覧ください。